〜愛せる俳優になる為に〜"Your fragility is also your strength."-Pina Bausch「あなたの脆さは強さでもある。」-ピナ・バウシュこのワークではロシアンクラウンなどの型のあるクラウンではなく、シンプルにあなたの中にいるクラウンを探します。舞台上で行われる大きな現象のひとつは「愛の交換」ではないでしょうか。少し大仰に聞こえるかもしれませんが、すべての俳優は舞台上で愛されるべきだと考えているのです。というか、愛されるのは前提です。絶対です。「最初から愛されない人はいない」と断言してもいい。「嫌いな人はいるよ?」と思うかもしれません。ですが私たちは、最初から嫌いになりたいと思って人と接していません。嫌いになりたいならその状態は理想的なので、そのことでもやもやしませんよね。「あの人とはどうやってもうまくいかない、一緒にいたくない」と不快になるということは、本当は愛したかったのに愛せなかったからではないでしょうか。嫌いになることが目的で、それが真の望みなのだとしたら、嫌いになることで不快感やもどかしさを感じることはないはずです。なので愛されない人はいないのです。(シンプル・クラウン クラスフォト)愛されているからこそ俳優はより魅力的に舞台に存在できます。愛しているからこそ俳優が語るストーリーを観客は楽しみます。問題はあなたが「愛されることを受け止められるかどうか」ではないでしょうか。では愛されるための手順とはなんでしょう?「愛されるために愛さなければならない」は真ではありますが、私はその前にもうひとつ手順があると感じています。それは「自分の脆さを受け入れ、認めること」だと思います。シンプルクラウンは自分の脆さに向き合います。自分の弱さ、情けなさ。クラウンは失敗です。彼らは必ず失敗します。でも、敗者にはなりえません。だって愛されているから。自分を守り、殻に籠って出てこない人は、誰も愛することはできません。あなたが愛されることを恐れていては、誰もあなたの魅力に気づけません。シンプルクラウンはあなたの魅力そのものです。弱い自分、語りたくない、見せたくない、見たくない自分。クラウンの赤い鼻はもうひとつのニュートラル・マスクです。ですがニュートラル・マスクとは対極的にあります。クラウンは普遍性ではなく、個々の特殊性から人間にアプローチします。演技がうまいとか、声がよいとかよりも、愛されることを認めることはもっと力強いです。そして愛されることを許すことは、自分の弱さ、脆さを認めることです。「自分も愛されていいのだ」と真に思えた身体は何よりも強く、舞台上で輝きます。あなただけのクラウンを見つけましょう。一緒に遊べるのを楽しみにしていますね。