「水をやってみる」ニュートラルマスクの中の「水・地・火・風」をやってみるエクササイズをよく覚えています。とても難しいと感じた練習だったからです。僕たちは自分自身の体を利用して「水・地・火・風」を表さなければなりませんでした。始めは「水」です。でも簡単にはいきません。そもそも水は人じゃないので、私たちが日常やっているのと同じ体の使い方をしていてはだめです。それでは人になってしまいます。人ではない体の使い方というのが難しかったです。結果、どんなにやっても時間内に水をやって見せることはできませんでした。おそらくそれには高いレベルの身体のコントロールが必要なんだと思います。何にもできなかったことに落ち込みはしましたが、その難しいことを実現することができたらと考えたときに僕はとてもワクワクしました。水になれるということは凄いことです。僕たちは水にも、地にも、風にも、火にもなれる。この世界に存在するあらゆるものになれるし、あらゆる人間にもなれるはずです。他人になることは確かに難しいけど、でも同じ人間です。物質ではないからまだ可能性があるかもしれない。そして僕がその可能性を感じることができたのは、身体的な技術を入口にした練習であったからです。心は目に見えないけど、身体は形を持って存在します。簡単じゃないけど、まだどうにかなるのかもしれない。水・地・火・風の練習に限らずスコラでやることは難しいことばかりでした。自分のちっぽけさを何度も感じました。それは同時に、今の自分の手の中には納まり切らない演劇というものの巨大さを感じていくことでもありました。たくさんの人にシアタースコラに出会ってもらいたいです。